バイト上がりの雨について
スーパーの清掃のバイトが終わると外は雨降りだった。
川端康成の北国みたいな始まりになっちゃったよ。雨降りか。嫌だな。寒いし、思考もなんだか湿度高めになるし、降るなら昼間にして欲しいものだ。
この前雨でも降らないかなぁとか書いてた自分が嘘のようにテンションが下がる。でも、世界のどこかは今晴れてるわけで、ここが晴れてる時は何処かが雨降り、そうやって地球はバランスを取っているのかもしれない、と考えるとなんとなく雨の日も許せる気がした。
傘をさして、雨音を聞きながら歩く。お腹が空いて、寒くて、寂しくて、疲れている。
「あゝなんて惨めだろう。」
ちょっと惨めな気分になりながら歩く。全部気のせいなのだけど。
本当は別に惨めじゃないし、別に惨めだとも思ってない。多分惨めな気分になってみたいからなってるだけなんだ。だってちょっと楽しいもん。でも、寂しのはちょっと本当だったりする。
今日は1人で掃除をした。1人でいるのは嫌いじゃないけど、ことバイトに限っては2人の方がはるかに楽だ。それに単純作業を1人でしているとセンチメンタルな気分になってしまう。
今日も掃除をしながら要らぬ反省を繰り返してしまった。終わってしまったこ事なのだから、これからを変えるしかないのは分かっているのだけれど、反省や後悔はなかなか止まらない。しかも奴らはちまちま来る。だから泣けもしないし、わめけもしない。
きっとこれもしたいからしてるんだろうなあ、ちょっと寂しい気持ちになってみたいから反省や後悔をちまちま繰り返すんだ。その証拠にちょっと満足してるもん。
といったところで家まであと少し。すると前方から大きなトラックが走って来た。僕は危なくないように端に避ける。車は僕の側を通り過ぎる。突然の風に傘は裏返って、タイヤが水溜りを弾き僕の体に水をかけて行った。
マジかよ。本当に惨めになりたいわけじゃないってのに。
雨脚は強まる。
*雨でも降らないかなぁとか言ってた日↓
http://jittotewomiru.hatenablog.com/entry/2017/05/08/160017