小さな野生について
スズメが一匹。
昼飯を食う僕の周りを、ちょんちょん飛び跳ねて、サッと飛んで木に登ったり、またおりて来たり。
可愛い。
聞いたところによると、スズメの警戒心の強さは日本列島の野生動物の中でもトップレベルの高さらしい。その警戒範囲はおよそ5メートル。あの小ささで5メートルである。大したものだ。
だから近づけない。どんなに可愛くても、これ以上近づくと確実に逃げられてしまうだろう。
静かに見守ることにした。
首をひっきりなしに動かして、忙しくキョロキョロと周りを見ている。そういえば、こいつはあまり鳴いてないぞ。今は一匹だから泣かないのだろうか?
なんてことを考えていると、突然飛び立って1メートルほど先に着地する。そしてキョロキョロ。
よく見るとスズメの周りを、小さな虫が飛び回っていた。どうやらこいつはその虫を追っているようだ。
こいつ、ハンターの目をしていやがる…。
何回か同じような死闘をスズメと虫は繰り広げ。スズメは遠くへ飛び立っていった。二匹の決着については謎である。
初めてスズメを野生動物として意識した瞬間だった。奴も必死にこの世界と戦っているのかもしれない。
そう思ったらスズメがカッコ良く思えてきた。
あいつらもあなどれない。