じっと手を見る

毎日に気づきと発見を 日記っぽいエッセイ

悲劇的惣菜パン

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 改札に通ってホームへの階段を降りると、正面に窮屈なコンビニがあって店先に売れ残ったパンがポツポツと並べてあった。

 

 ランチパックっぽいやつのありがちな味。あんまりボリュームのないハンバーガー。ベーコンエピ。三個入りの小さなハムロール。

 オレンジ色の光に照らされたかわいそうな惣菜パン達は、どことなく力なく棚に置かれている。

 例えるなら観客の居ない舞台の上にポツンと取り残されているような…祭りの後の静けさのような…。そんな哀しみを惣菜パンは背負っていた。

 

  一人だけでも救出しようかと思ったけど、財布の中身も十分に悲劇的であったし、残念ながら1つも美味しそうに見えない。同情はしても美味しそうでもないのに食べてやる義理はないと思い、自分の心の狭さを自覚しながらその場を去った。

 

 その時の僕は惣菜パンに感情移入出来るくらいには疲れていたかな。勝手だがあの惣菜パン達には強く生きて欲しいと、そう思った。