雨の日の決断について
今朝は雨の音で目が覚めた。
家の前にある畑のビニールハウスを雨がバタバタと叩く音。
今日はちゃんと降ってるなあ。
今日みたいにちゃんと雨が降るのはいつぶりだろうか。ずっと晴れ続きだったから、お空もそろそろ限界だったのかもしれない。
僕は晴れの国岡山県の人間なので、実はまだ雨の日に慣れていない節がある。雨の日の経験値がまだちょっと足りていないのか、雨の日は極端にやる気が出ない。
雨を理由に色々やりたくなくなってしまう。家の中のことでさえ。僕の中で雨は大きな障害で、それを乗り越える労力を考えると、さっぱり力が湧いてこないのだ。
そう思いながらも今日も仕事に向かう。雨の日の自転車は最悪だ。
鬱々とペダルを漕いでいると、前から女の人が走って来る。雨避けにウインドブレーカーを着て走っている彼女は、どうやら陸上の選手のようで、毎朝この辺りをランニングしている。本当に凄い。いつもは何人かまとまって走っているが今日は一人だった。
雨の日でも走ってるなあ。
彼女は僕の乗り越えられない雨の憂鬱の障害を乗り越え、なおかつウインドブレーカーの中のジメジメした感じや、雨で走りにくい路面や、雨で悪くなった視界なんて言う、さらなる障害も乗り越えている。
大いに感心しながら彼女を後ろから追い越した。
あの人はどうしてこんな日に走れるのか?走ろうと思ったのか?
きっと雨の日だからどうこうではないんだ。雨の日でもやるか、やらないか。ただそれだけなんだ。
障害やいろんな出来ない理由なんて関係なしに、やるやらないの2択からやるをあの人は選んだ。シンプルだけど、すごく難しい決断。
凄い。
振り返って彼女を探してみた。どこかで角を曲がったのかもう姿はなかった。
僕はどうだろう?出来るのかな、あの人みたいにかっこよく。
きっと後ろ姿もかっこよかったんだろうな。
ちょっとだけ雨が弱くなった気がした。