寂しい痛みについて
引っ越しの準備中に右足の小指をぶつけた。
痛い。
普段ならそこにないはずの椅子に引っかかってしまった。最近になって分かった、痛みには何個か種類があるみたい。
小指をぶつけた時の痛みは、寂しい痛み。痛いけど叫ぶような痛みでもなく、笑えるほどの痛みでもなく、ただ一人悶々と痛みに耐えてしまうような、そんな寂しい痛み。
痛いから寂しいのか、寂しいから痛いのか分からないけど、とにかく寂しい痛み。
家で一人でいるときに、寂しい種類の痛みに出会うと、悔しいけど涙が出ちゃう事がある。
僕はどうやら、寂しいに弱いみたいだ。
もちろん有意義な寂しいもある。ひとりぼっちでも寂しくない日は寂しくない。でも最近は、寂しい忙しさ、寂しい辛さ、寂しい美味しさなんかによく出会う。
寂しさに出会う事が増えたのか、寂しさを前より感じるようになっちゃったのか。どっちだろう。
寂しくしとしと降ってる雨を見て思った。
もっとざんざん降りの大雨だったら、少しは楽しい雨なのにね。
これから梅雨が来る。いい寂しさを見つけられるといいな。